撹拌翼(撹拌羽根)の選定方法は?【種類・用途とあわせて解説】

撹拌において効率を高めるために重要となる部品の一つが撹拌翼です。撹拌槽内の物質を均一に混合するためには、用途にあわせた適切な撹拌翼を選定する必要があります。今回は撹拌翼の基本的な機能、選定の重要性、種類別の特徴について解説していきます。

撹拌翼とは

撹拌翼は、モーターからの回転エネルギーを槽内で効果的に伝達するための装置です。撹拌翼を使うことで槽内の液体に循環流を形成でき、せん断力を生じさせることで物質を均一な割合で混合させられるようになります。

撹拌翼のサイズを変えることで、小型から大型の撹拌機に適用可能ですが、物質の粘度や性質によっては、単純なサイズアップだけでは不十分な場合もあります。その場合は、撹拌翼の形状にも配慮する必要があるでしょう。

撹拌翼の材質には、ステンレスSUS304やSUS316Lなどが一般的ではあるものの、使用する液体の性質や撹拌環境に応じて最適な材質を選定することが大切です。たとえば、腐食性の高い液体や特殊な化学反応を伴うプロセスでは、耐食性や耐熱性に優れた材質が必要となります。

撹拌翼の原理

撹拌翼を回転させると、吐出作用とせん断作用の二つの主要なメカニズムが生じます。吐出作用は、槽内の液体を循環させることで混合を促進する作用です。せん断作用は、液体内の局所的なせん断力を利用して、固体粒子や粘度の高い物質を細分化し、均一に分散させる作用です。

撹拌翼の選定する際には、混合する物質の特性や撹拌する目的にあわせて、吐出作用とせん断作用のバランスを考慮することが重要となります。たとえば、低粘度の液体を撹拌する場合は、吐出作用を重視した撹拌翼が適していますが、高粘度の物質や固体粒子を含む液体の場合は、せん断作用を強化した撹拌翼が求めらるのです。

撹拌翼の選定が不適切になると撹拌機の混合効率が低下し、性能が悪化します。逆に、適切な撹拌翼を選択すれば、効率的で均一な混合が可能になるでしょう。また、撹拌している間に物質の特性が変化することもあるので、時間変化も踏まえた上で最適な撹拌翼を選定する必要もあるでしょう。

主な撹拌翼の種類は?

右からディスパ、ブレードタービン、傾斜パドル。下段ディスクタービン、湾曲タービン

撹拌翼にはプロペラ翼、タービン翼、パドル翼などがあり、その形状は使用される撹拌機の種類や目的によって異なります。ここでは撹拌翼に用いられる主な形状について解説していきます。

低粘度域で用いられる撹拌翼

低粘度域で用いられる撹拌翼の代表例は、プロペラ翼、タービン翼、パドル翼です。

プロペラ翼
プロペラ翼は、ヘリコプターや船舶のプロペラに類似した形状をしていて、最も一般的な撹拌翼です。槽内の軸方向に向かって液体の流れを形成できるため、効率よく撹拌できる特徴があります。低粘度から中粘度領域の混合に適した撹拌翼です。
タービン翼タービン翼は、円盤にブレードを取り付けた形状で、プロペラ翼に比べるとせん断力に優れることが特徴の撹拌翼です。消費動力は大きくなるもののせん断力の高さを生かして、気液を分散させたり、液滴を微細化させたりする用途に向いています。低粘度から中粘度の領域で幅広く応用されています。
パドル翼
パドル翼は、船のオールに類似した形状をしていて、シンプルな構造の撹拌翼です。構造がシンプルなことから幅広い分野で活躍しています。通常は低速で使用されるケースが多く、低粘度から中粘度の領域で用いられています。

高粘度域で用いられる撹拌翼

高粘度域で用いられる撹拌翼の代表例は、アンカー翼、リボン翼です。

アンカー翼アンカー翼は、船で使われる錨のような形状をしていて、壁面付近の物質まで混合させるのに有利な撹拌翼です。壁面付近に固体が付着するような場合によく用いられる一方で、軸方向の流れが小さいため全体を混合させるには不向きです。高粘度の流体向けに用いられています。
リボン翼
リボン翼は、体操のリボンのように見える形状をしていて、アンカー翼と同様に壁面付近の物質まで混合させられる撹拌翼です。アンカー翼との違いとして、構造が複雑になっている点があげられます。一方で、アンカー翼が苦手とする軸方向にも強い流れを生じさせられるので、槽内全体の液体混合にも向いている点があります。高粘度の撹拌・混合においてよく使われる形状の撹拌翼です。

HEIDONで扱う撹拌翼は大きく3タイプ・20種類以上

HEIDONでは、大きく分けて以下3タイプの撹拌翼を扱っています。

  • 安価で使いやすい汎用撹拌翼
  • 撹拌効率を追求したハンドメイド撹拌翼
  • 高トルクに耐えるφ12mmシャフト用攪拌翼

それぞれ詳細を解説していきます。

安価で使いやすい汎用撹拌翼

7種の形状バリエーションに対して、先端に取り付ける先端用、中間位置に取り付けられるボス付の2種類があります。さらに先端用はチタン製があります。

右上からバタフライ、プロペラ、ファン、タービン。下段かい十字、ソフト十字、トンボ
形状材質翼径
ファン先端用SUS31638mm
プロペラR先端用SUS31650mm
ボス付プロペラRSUS31650mm
チタンプロペラR先端用チタン50mm
プロペラL先端用SUS31650mm
ボス付プロペラRSUS31650mm
チタンプロペラR先端用チタン50mm
ソフト十字先端用SUS31670mm
ボス付ソフト十字SUS31670mm
かい十字R先端用SUS31670mm
ボス付かい十字RSUS31670mm
チタンかい十字R先端用チタン70mm
かい十字R先端用SUS31670mm
ボス付かい十字RSUS31670mm
チタンかい十字R先端用チタン70mm
ボス付バタフライSUS31660mm
タービン先端用SUS31686mm
ボス付タービンSUS31686mm
チタンタービン先端用チタン86mm

各タイプの価格詳細はこちら

撹拌効率を追求したハンドメイド撹拌翼

SUS316製で様々なサイズをご用意しました。

右からディスパ、ブレードタービン、傾斜パドル。下段ディスクタービン、湾曲タービン
右上から4枚傾斜パドル、プロペラ、下段は2枚傾斜パドル
形状材質翼径
ディスクタービンSUS31640mm
80mm
100mm
120mm
ブレードタービンSUS31680mm
傾斜パドルSUS31640mm
80mm
100mm
120mm
ディスパSUS31640mm
60mm
80mm
100mm
4枚傾斜パドルSUS31680mm
120mm
2枚傾斜パドルSUS31680mm
120mm
150mm
4枚プロペラSUS316100mm

各タイプの価格詳細はこちら

高トルクに耐えるφ12mmシャフト用攪拌翼

BLW用の高粘度対応大型攪拌翼12シリーズ。受注生産品となります。

右上から傾斜パドル、プロペラ、下段はディスクタービン、ディスパ
右からアンカー翼、フラットパドル翼

まとめ:撹拌翼のことなら創業70年のHEIDONにお問い合わせください!

撹拌翼は効率的な混合を実現するために欠かせない構成要素です。しかし、撹拌翼を選定する際には、撹拌物質の特性、撹拌目的、タンクのサイズや形状など多岐にわたる要素を考慮する必要があります。選定を誤ると、撹拌機の性能低下や混合効果の不足を招くかもしれません。

もし撹拌翼のことでお悩みなら、1952年創業の攪拌機の老舗で、撹拌機・撹拌翼について長年にわたる知識と経験を持っているHEIDONにお任せください。HEIDONまでお問い合わせいただければ、お客様の用途にあわせて、最適な撹拌翼をご紹介しますので、お気軽にお問い合わせください。お問い合わせは、以下のリンクからどうぞ。

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