鉛筆硬度試験とは【JIS K 5600の詳細も解説】

物体の硬度を測定する方法の1つとして鉛筆硬度試験があります。

今回は鉛筆硬度試験の詳細を解説していきます。

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鉛筆硬度試験「JIS K 5600」とは?

鉛筆硬度試験「JIS K 5600」とは、塗膜やコーティングの硬さを評価するための標準的な試験方法のことです。

塗料の品質や耐久性を確認するために広く使用されており、製品の信頼性を確保するために欠かせない試験です。

具体的には、鉛筆の硬度を利用して塗膜に傷をつけ、その傷の程度によって塗膜の硬さを測定します。この方法はシンプルでありながら、塗膜の性能を正確に評価するために非常に有効です。

試験方法の詳細

はじめに、異なる硬度の鉛筆を準備しましょう。

鉛筆の硬度は、H(硬い)からB(柔らかい)まで幅広く設定されています。次に、試験片となる塗膜に対して一定の角度と圧力で鉛筆を押し付けて引っかきます。

この際、傷の深さや塗膜の剥がれ具合を観察し、塗膜が耐えられる最も硬い鉛筆の硬度を記録しましょう。これにより、塗膜の硬さを客観的に評価できます。

メリットとデメリット

鉛筆硬度試験のメリット

  • 試験が簡単でコストが低く、短時間で結果が得られること。
  • 特別な機械を必要とせず、基本的な試験設備で実施できるため、多くの現場で行えます。

鉛筆硬度試験のデメリット

  • 試験者の技術や経験に結果が左右されやすい。
  • 表面的な硬さしか評価できないため、塗膜の内部の硬さや他の物理的特性を評価するには別の試験が必要になる。

手動試験の課題を解決する — 機械式試験機という選択肢

上記のデメリットからわかるように、手動での鉛筆硬度試験には「試験者ごとのばらつき」と「表面硬さしか評価できない」という本質的な限界があります。

これらの課題を根本的に解決するのが、機械式の試験機による自動化です。荷重・速度・ストロークを機械的に制御することで、誰が操作しても同じ条件で試験でき、再現性のある結果が得られます。

さらに、機械式試験機のメリットは鉛筆硬度試験の自動化だけにとどまりません。1台の試験機でスチールウール耐久試験・ガーゼ摩耗試験・引掻強度試験など、塗膜やコーティングに関する多様な評価を実施できます。オプションの荷重変換器を取り付ければ、摩擦係数の測定にも対応でき、将来的な測定ニーズの拡大にも1台で応えられます。

具体的な機種については、本記事の後半で詳しく解説しています。

鉛筆硬度試験の実施例

鉛筆硬度試験を実施するのは、主に製品開発の過程です。試作品の段階でこの試験を行うことで、塗膜の耐久性を確認し、製品の改良点を見つけ出せます。

たとえば、新たに開発された自動車用塗料の硬さを評価する場合、この試験を通じて塗料の耐摩耗性や耐久性を測定可能です。

また、製造過程においても品質管理の一環として定期的に鉛筆硬度試験が行われます。製品が一定の品質基準を満たしているかを確認するために、塗装工程や仕上げ工程でこの試験を実施します。

鉛筆硬度試験が実施される産業例は以下のとおりです。

  • 自動車の外装塗装の評価
  • 家電製品の表面コーティング評価
  • 建築材料の評価
  • 医療機器や電子機器の評価

自動車の外装塗装評価

自動車の外装塗装は、日常的にさまざまな摩擦や衝撃を受けるため、その耐久性が重要です。この試験を行うことで、自動車の塗装がどれほどの硬度を持ち、どの程度の摩耗に耐えられるかを確認できます。

家電製品の表面コーティング評価

家電製品の表面コーティングについても鉛筆硬度試験が活用されます。たとえば、冷蔵庫や洗濯機の表面は日常的に触れられるため、塗膜の硬さが重要な要素となります。鉛筆硬度試験によって、これらの製品が家庭内での使用に耐えうるかを評価可能です。

建築材料の評価

建築材料の品質評価にも鉛筆硬度試験が使われます。たとえば、内装材や外装材の塗装面の硬さを確認することで、建物の美観や耐久性を確保します。

特に、公共施設や商業施設などの高頻度で使用される場所では、塗膜の耐摩耗性が重要です。鉛筆硬度試験により、これらの材料が長期間にわたり美観を保てるかを評価します。

医療機器や電子機器の評価

医療機器や電子機器の表面処理にも鉛筆硬度試験が利用されます。これらの機器は、操作やメンテナンスの際に摩耗が生じやすいため、表面の硬さが求められます。鉛筆硬度試験を通じて、医療機器や電子機器の表面が日常的な使用に耐えられるかを確認可能です。

鉛筆硬度試験「JIS K5600」ができる摩擦摩耗試験機とは?

鉛筆硬度試験「JIS K5600」を正確に行うためには、専用の摩擦摩耗試験機が必要です。これらの試験機は、塗膜の硬度を高精度に測定するために設計されています。

代表的な試験機の種類については、以下で詳しく解説していきます。

連続加重式引掻強度試験機「TYPE:18/18L」

TYPE:18/18Lは連続加重で傷つきやすさを数値化できる試験機で、以下のような特徴があります。

  • 幅広く再現性の高い試験:0~50g、0~100g、0~200gの連続加重を選択できるため、幅広い荷重範囲で試験を行えます。あらかじめ100gの一定荷重分銅を載せて、0~200gの連続分銅を併用すれば、100~300gの加重を得ることも可能です。特別な校正が不要な機械式のため、再現性の高い試験が可能です。これにより、異なる材料や条件下での試験結果を比較しやすくなります。
  • 専用のデータ解析ソフト:データ解析ソフトウェア「トライボソフト」を使用すれば、引っかき時の針が受ける抵抗力を記録し、より詳細な評価が可能です。これにより、材料の表面破壊強度や引っ掻硬さを数値化できます。このデータは、材料選定や製品改良の際に非常に有用です。(18Lのみ対応)

連続加重式引掻強度試験機TYPE:18/18L

スチールウール耐久試験機「TYPE:38F」

スチールウール耐久試験機 TYPE:38F

TYPE:38Fは、鉛筆硬度試験(JIS K 5600-5-4)に加え、スチールウール耐久試験(JIS K 7317)や引掻強度試験(ISO 12137)など、多彩な表面評価試験を1台で実施できる試験機です。

  • 多規格対応:JIS K 5600-5-4(鉛筆硬度)、JIS K 7317(スチールウール)、ISO 12137(引掻強度)に対応。測定子を交換するだけで異なる試験を実施できます。
  • タッチパネル操作:試験条件の設定から測定開始まで直感的に操作でき、試験者による設定ミスを防ぎます。
  • 拡張性:オプションの荷重変換器を取り付ければ、摩擦係数の測定にも対応。試験機を買い替えることなく、測定範囲を拡張できます。

スチールウール耐久試験機 TYPE:38F の詳細はこちら

ハードコート評価試験機「TYPE:38P」

TYPE:38Pは、TYPE:38Fと同じプラットフォームをベースに、ハードコートやコーティング膜の評価に特化した試験機です。鉛筆硬度試験はもちろん、スチールウール試験・ガーゼ摩耗試験・引掻試験を1台で行えます。

  • ハードコート評価に最適:タッチパネルやディスプレイなどの表面処理膜の耐久性を、複数の試験方法で総合的に評価できます。
  • TYPE:38Fと同等の拡張性:荷重変換器オプションによる摩擦係数測定、専用データ解析ソフト「トライボソフト」との連携にも対応しています。

ハードコート評価試験機 TYPE:38P の詳細はこちら

鉛筆硬度試験「JIS K5600」を実施するためには、それぞれのニーズに合わせた試験機を選ぶことが重要です。

TYPE:18/18Lはシンプルな操作性で引掻強度の数値化に適した試験機、TYPE:38F/38Pは鉛筆硬度に加えてスチールウール・ガーゼ・引掻など多彩な表面評価を1台で行える試験機です。

それぞれの特性を理解し、適切な試験機を選定するようにしましょう。

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