鉛筆硬度試験とは【JIS K 5600の詳細も解説】

塗膜の引っかきに対する抵抗を簡便に比較する方法の1つとして鉛筆硬度試験があります。

今回は鉛筆硬度試験の詳細を解説していきます。

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鉛筆硬度試験「JIS K 5600」とは?

鉛筆硬度試験とは、規定された鉛筆芯と試験方法を用いて、塗膜の引っかきに対する抵抗を等級で比較する試験方法のことです。塗料一般試験方法の規格群JIS K 5600のうち、JIS K 5600-5-4(引っかき硬度・鉛筆法)で規定されています。

塗料の品質管理や比較評価のために広く使用されており、多くの業界で採用されている試験です。

具体的には、硬度の異なる鉛筆芯で塗膜を引っかき、損傷の有無によって塗膜の引っかき硬度を等級評価します。シンプルで導入しやすく、塗膜の引っかきに対する抵抗を簡便に等級比較する方法として広く利用されています。なお、塗膜の絶対硬さや耐摩耗性、密着性など、塗膜性能全体を示す試験ではない点には注意が必要です。

試験方法の詳細

はじめに、異なる硬度の鉛筆を準備しましょう。

鉛筆の芯の硬度は、柔らかいB系(…3B、2B、B)からHB、Fを経て、硬いH系(H、2H、3H…)まで段階的に設定されています。次に、試験片となる塗膜に対して規格で定められた角度と荷重で鉛筆を押し付けて引っかきます。

この際、塗膜表面の損傷の有無を観察し、所定の損傷を生じない鉛筆硬度、または損傷を生じる境界を判定します。判定区分や繰り返し回数などの詳細は、適用する規格の原文と社内判定基準に従ってください。

メリットとデメリット

鉛筆硬度試験のメリット

  • 試験が簡単でコストが低く、短時間で結果が得られること。
  • 特別な機械を必要とせず、基本的な試験設備で実施できるため、多くの現場で行えます。

鉛筆硬度試験のデメリット

  • 試験者の技術や経験に結果が左右されやすい。
  • 表面的な硬さしか評価できないため、塗膜の内部の硬さや他の物理的特性を評価するには別の試験が必要になる。

手動試験の課題を解決する — 機械式試験機という選択肢

上記のデメリットからわかるように、手動での鉛筆硬度試験には「試験者ごとのばらつき」と「表面硬さしか評価できない」という本質的な限界があります。

これらの課題を軽減するのが、機械式の試験機による自動化です。荷重・速度・ストロークを機械的に制御することで、操作によるばらつきを抑えやすくなり、再現性の向上が期待できます。

さらに、機械式試験機のメリットは鉛筆硬度試験の自動化だけにとどまりません。1台の試験機でスチールウール耐久試験・ガーゼ摩耗試験・引掻強度試験など、塗膜やコーティングに関する多様な評価を実施できます。オプションの荷重変換器を取り付ければ、摩擦係数の測定にも対応でき、将来的な測定ニーズの拡大にも1台で応えられます。

具体的な機種については、本記事の後半で詳しく解説しています。

鉛筆硬度試験の実施例

鉛筆硬度試験を実施するのは、主に製品開発の過程です。試作品の段階でこの試験を行うことで、塗膜の耐久性を確認し、製品の改良点を見つけ出せます。

たとえば、新たに開発された自動車用塗料を評価する場合、この試験を通じて塗膜の引っかきに対する抵抗を従来品や競合品と比較できます。

また、製造過程においても品質管理の一環として定期的に鉛筆硬度試験が行われます。製品が一定の品質基準を満たしているかを確認するために、塗装工程や仕上げ工程でこの試験を実施します。

鉛筆硬度試験が実施される産業例は以下のとおりです。

  • 自動車の外装塗装の評価
  • 家電製品の表面コーティング評価
  • 建築材料の評価
  • 医療機器や電子機器の評価

自動車の外装塗装評価

自動車の外装塗装は、日常的にさまざまな摩擦や衝撃を受けるため、その耐久性が重要です。この試験を行うことで、自動車の塗装の引っかき硬度を等級で確認・比較できます。

家電製品の表面コーティング評価

家電製品の表面コーティングについても鉛筆硬度試験が活用されます。たとえば、冷蔵庫や洗濯機の表面は日常的に触れられるため、塗膜の硬さが重要な要素となります。鉛筆硬度試験によって、これらの製品が家庭内での使用に耐えうるかを評価可能です。

建築材料の評価

建築材料の品質評価にも鉛筆硬度試験が使われます。たとえば、内装材や外装材の塗装面の硬さを確認することで、建物の美観や耐久性を確保します。

特に、公共施設や商業施設などの高頻度で使用される場所では、塗膜の耐摩耗性が重要です。鉛筆硬度試験により、これらの材料が長期間にわたり美観を保てるかを評価します。

医療機器や電子機器の評価

医療機器や電子機器の表面処理にも鉛筆硬度試験が利用されます。これらの機器は、操作やメンテナンスの際に摩耗が生じやすいため、表面の硬さが求められます。鉛筆硬度試験を通じて、医療機器や電子機器の表面が日常的な使用に耐えられるかを確認可能です。

鉛筆硬度試験「JIS K 5600-5-4」ができる摩擦摩耗試験機とは?

鉛筆硬度試験(JIS K 5600-5-4)を規定の条件で安定して行うには、機械式の試験機の活用が有効です。これらの試験機は、荷重や速度などの操作条件を一定に保ちやすいように設計されています。

代表的な試験機の種類については、以下で詳しく解説していきます。

連続加重式引掻強度試験機「TYPE:18/18L」

TYPE:18/18Lは連続加重で傷つきやすさを数値化できる試験機で、以下のような特徴があります。

  • 幅広く再現性の高い試験:0~50g、0~100g、0~200gの連続加重を選択できるため、幅広い荷重範囲で試験を行えます。あらかじめ100gの一定荷重分銅を載せて、0~200gの連続分銅を併用すれば、100~300gの加重を得ることも可能です。特別な校正が不要な機械式のため、再現性の高い試験が可能です。これにより、異なる材料や条件下での試験結果を比較しやすくなります。
  • 専用のデータ解析ソフト:データ解析ソフトウェア「トライボソフト」を使用すれば、引っかき時の針が受ける抵抗力を記録し、より詳細な評価が可能です。これにより、材料の表面破壊強度や引っ掻硬さを数値化できます。このデータは、材料選定や製品改良の際に非常に有用です。(18Lのみ対応)

連続加重式引掻強度試験機TYPE:18/18L

スチールウール耐久試験機「TYPE:38F」

スチールウール耐久試験機 TYPE:38F

TYPE:38Fは、鉛筆硬度試験(JIS K 5600-5-4)に加え、スチールウール耐久試験、JIS K 7317に基づく引っかき硬さ試験、マーレジスタンス試験(ISO 12137)など、多彩な表面評価試験を1台で実施できる試験機です。

  • 多規格対応:JIS K 5600-5-4(引っかき硬度・鉛筆法)、JIS K 7317(機能性フィルムの引っかき硬さ)、ISO 12137(マーレジスタンス)に基づく試験に対応。測定子を交換するだけで異なる試験を実施できます。
  • タッチパネル操作:試験条件の設定から測定開始まで直感的に操作でき、試験者による設定ミスを防ぎます。
  • 拡張性:オプションの荷重変換器を取り付ければ、摩擦係数の測定にも対応。試験機を買い替えることなく、測定範囲を拡張できます。

スチールウール耐久試験機 TYPE:38F の詳細はこちら

ハードコート評価試験機「TYPE:38P」

TYPE:38Pは、TYPE:38Fと同じプラットフォームをベースに、ハードコートやコーティング膜の評価に特化した試験機です。鉛筆硬度試験はもちろん、スチールウール試験・ガーゼ摩耗試験・引掻試験を1台で行えます。

  • ハードコート評価に最適:タッチパネルやディスプレイなどの表面処理膜の耐久性を、複数の試験方法で総合的に評価できます。
  • TYPE:38Fと同等の拡張性:荷重変換器オプションによる摩擦係数測定、専用データ解析ソフト「トライボソフト」との連携にも対応しています。

ハードコート評価試験機 TYPE:38P の詳細はこちら

鉛筆硬度試験(JIS K 5600-5-4)を実施するためには、それぞれのニーズに合わせた試験機を選ぶことが重要です。

TYPE:18/18Lはシンプルな操作性で引掻強度の数値化に適した試験機、TYPE:38F/38Pは鉛筆硬度に加えてスチールウール・ガーゼ・引掻など多彩な表面評価を1台で行える試験機です。

それぞれの特性を理解し、適切な試験機を選定するようにしましょう。

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※2026年7月、技術内容および規格情報を見直し、加筆修正しました。

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